「御茶ノ水駅から・・」
 西から東に向かって流れる神田川の南側に沿って横たわるJR御茶ノ水駅。
西側(川上)に「御茶ノ水橋口」、東側(川下)に「聖橋口」という2つの
改札口があります。いずれもその名前のとおり神田川をまたぐ立派な橋が間
近に控えています。

 御茶ノ水橋(川上)から聖橋(川下)の方向を見ると、深く流れる神田川の両岸には土手がせり上がり、たくさんの樹木が繁茂しています。JR中央・総武線のホームは、電車を待つ人々の姿を川面に映すように伸び、オレンジや黄色の電車が行き交います。そして地下鉄丸ノ内線が土手から突然飛び出して地上に現れ、赤い車両は神田川を低い位置で横断して行くのが見えます。その上を、聖橋の大きな石のアーチがどっしりと跨(また)ぎ、橋の上をたくさんの自動車が行き交い、歩く人々は小さな粒のように見えました。その向こうには雑多なビル群。

 反対に聖橋から御茶ノ水橋の方を見ると、一段高い位置から見下ろすような景色となり、日が西に傾く頃になるときらきらと輝く水面がまぶしく目を射します。

 都会の動的で立体的な風景は、季節毎に意外なまでに表情を変えます。春の桜、夏の緑、秋の色付き、冬枯れの単調。そしてそれらを映す川の水の色。空の色。川風の冷たさにコートの襟を合わせる駅待人。走り去った電車の後、川からの風にネクタイを緩め汗を拭う見送人。


「飛騨居酒屋『蔵助』へ・・」

 さて、今日は御茶ノ水駅「聖橋口」で待ち合わせをしてランチです。向かうお店は「飛騨居酒屋『蔵助』(くらすけ)」。なんでも岐阜県の飛騨地方で有名な「朴葉味噌焼」の各種メニューが手軽にランチでいただけるとのこと。

 聖橋口を出て右、少しだけ御茶ノ水橋口方面へもどりすぐに左に折れると、靖国通りに向けてゆるやかな坂道となります。ニコライ堂を左に眺めながら街路樹の美しい坂道を歩き、途中太田姫稲荷神社が右手に見えたところで左折して「駿河台道灌道」(するがだいどうかんどう)という道に入ります。
 道灌道には「駿河台匂」(するがだいにおい)という種類の桜が植えられています。江戸の昔、駿河台の武家屋敷にあった香りのよい山桜が駿河台匂と名付けられました。遅咲きで、特に香りのよい匂い桜です。

 道灌道に入りすぐのファミリーマートの先、ハンバーガー「KUA'AINA」の2階に「蔵助」はあります。見上げるようにしてガラス越しに店内を伺うとお昼時、多くの先客がいるようです。

 階段を上り茶色の格子戸を開けると、藍染の手拭いを頭に巻き、同じく藍染の作務衣を着たお店の方が威勢よく「いらっしゃいませ!」と迎えてくれました。座席は50席ほど、通りを見下ろす窓側の席に座らせていただきました。
 店内はなんだか懐かしいような、少し独特な匂いが立ち込めています。周りを見ると、すでに食事についている人のテーブルには一人に一つづつ、小さなコンロ(火鉢)がおかれており、コンロの上には何やら大きな茶色の葉っぱ、その上で味噌やお肉ががじりじりと焙られいます。どうやら火で焙られた葉っぱと味噌の香りが匂いのもとのようです。


「朴葉みそ定食・・」

 ここ蔵助では、飛騨の伝統料理「朴葉味噌焼」をアレンジした「朴葉みそ定食」がお昼の人気メニューです。朴葉とは、全国の山林に自生するモクレン科の落葉高木樹「朴の木」の葉っぱで、お面のように大きな葉は昔から食材を包んだりお皿として使われてきました。特に飛騨地方では朴葉の上で味噌に葱やキノコなどを混ぜ込んだものを焼き、食材に乏しい冬場のおかずとしてその香りとともに親しまれてきました。現在では「飛騨牛」などの高級食材を一緒に焼き、上等な一品としてお店で供されることもあります。蔵助では、昔ながらの素朴さを活かしながら、「飛騨牛」「豚肉」「鶏肉」「豚キムチ」「飛騨牛メンチカツ&コロッケ」など様々なアレンジで気軽にいただけるランチメニューとして提供しています。いずれ全種類を制覇することにして、今日は「飛騨牛の朴葉みそ定食」を注文しました。

 蔵助のランチはごはん・みそ汁・サラダが付いて880円と1,000円(飛騨牛)、ごはんはおかわり自由なので若い人にも安心です。しかも食後には最中アイスがもれなく付いてきます。居酒屋のランチにしては女性のお客さんが多いのは最中アイスもお目当てのひとつなのかもしれません。私のお気に入りポイントのひとつはご飯に一緒によそわれてくる漬けもの「めしどろぼ漬け」です。(これについてはいつかの日か別ページで詳細を!)それから夏はジョッキで出てくるお店で淹れた濃いめのウーロン茶(もちろん何杯でもおかわりできます)。外回りで汗をかいたあとにゴクゴク飲む冷たくて濃いウーロン茶はたまりません。(冬場はホットでおかわり自由です!)それから土日は食後にコーヒーも出てくるという噂も。ぜひ、土日もお仕事やお近くにお出かけの際には試してみて下さい。

「ヘルシー!美味しい!」

 さて、飛騨牛の朴葉みそ焼。やわらかなお肉に味噌味がからみ、さらに火で焙りながら食べることで香りも十二分に楽しめます。これではごはんがおかわり自由なのも当然です。食がどんどんすすむこと請け合いです。しかし味噌味ながらも味付けは控えめで、塩分の気になる方でも安心できるのではないでしょうか。控えめな味付けを焙ることによる香りの高さが補っているかのようです。サラダのしゃきしゃきした新鮮な白菜や水菜の歯触りも、いっそうヘルシーさを際立たせます。食後の最中アイスだけでなく、こうしたさりげない健康志向が女性に人気の秘密かもしれませんね。

 ごはんもおかわりしていただき、食後のアイスも堪能してお店を出ました。さてさて、飛騨居酒屋『蔵助』。今度は夜にお邪魔してみましょう。どうやら岐阜・飛騨の地酒の品揃えが大変充実しているようです。お酒のつまみにはどんな地元料理・食材が出てくるのでしょうか。