今月は緑町グリーンパーク商店街の「たかおか食器店」にお邪魔をしました。
 「何かいいもの」をさがしにみなさんも出かけてみませんか?
   
 

※「今月のお店訪問」は、平成17年から19年頃まで、武蔵野市緑町の一部地域で毎月刊行していた「緑通信」の記事のひとつで、当時の「緑通信」が、
現在のWeb版「緑通信」の前身になります。 この記事は平成18年6月号から、「たかおか食器店」さんの了解を得て、そのまま転載しています。
(年数なども、当時のままとなっていますのでご了承ください)

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 雨の多かった5月も終わり、季節は梅雨へと移りました。まだまだ雨の多い日が続くのでしょうか。 暑くなるのも大変ですが、お天気の待ち遠しい毎日です。
 そんななか、今月のお店訪問はグリーンパーク商店街の「たかおか食器店」にお邪魔をしました。 お話をお伺いしたのは、ご主人の高岡正次(しょうじ)さんと奥様のふみさんです。 梅雨空も忘れさせる明るくてお話の楽しいご夫婦です。 「たかおか食器店」は昨年50周年を迎えたグリーンパーク商店街の中でも老舗で、今月で開店から43年目となります。
 お店には、お茶碗やお湯飲みなどの各種陶磁器から鍋やフライパンなどの台所用品など、様々な食に関する器や道具が並んでいます。 私も色々な自慢の品(?)を「たかおか食器店」さんで仕入れておりますので後ほど紹介させていただきますね!


 さて、ご主人の高岡正次さんは滋賀県のご出身で、昭和25年に中学校を卒業するとすぐに夜行の汽車に乗って上京、当時は東京駅に着くまでに12時間かかったそうです。 東京駅に降り立つと、日本橋の方面には、まだ戦争の焼け跡が残っていました。 それから当時15歳の正次さんは、荒川区にあった食器店で14年間勤め、29歳で独立をして現在の緑町に「たかおか食器店」を開きました。 昭和39年、新緑の眩しい5月のことでした。
 昭和39年と言えば東京オリンピックの年ですが、ご主人と奥様も甲州街道までマラソンの応援に行きました。当時、裸足でマラソンを走るアベベ選手が有名でしたが、本当に目の前を裸足で走っていくのを見てとても驚いたのをとてもよく覚えているそうです。 日本の選手では円谷選手が2位でした。


 当時は、米軍のキャンプが現在の中央公園の所にまだあった頃で、日本のお土産として湯飲みやお皿などが外国人にとてもよく売れたそうです。 特に6月頃になるとクリスマスプレゼントとしてたくさん売れました。 6月にクリスマス?と思われるかもしれませんが、その頃は海外へは船で荷物が運ばれたために届くまでに何ヶ月もかかったのです。 それで6月頃から「クリスマス商戦」は始まっていました。 やはり人気の絵柄は梅や龍、富士山、歌舞伎などの日本的なものでした。
 それらを箱一杯に買って行き、またキャンプのなかへもよく配達に行ったそうです。 そして本当のクリスマスがやってくると今の東小学校の所が米軍キャンプの消防署になっていて、クリスマスの飾りつけがとても派手なのにはびっくりしたそうです。
(編注:武蔵野市緑町には、戦前中島飛行機の工場があり、戦後その跡地は昭和48年まで米軍キャンプとして接収されていました)


 昭和41年にはふたごの男の子が生まれて、当時はやっていたポラロイドカメラを持った外国人が子供の写真を撮ってくれたりしました。 小さなふたごの子供を抱えての商売は大変だったようですが、昔は商店街の中にも下町情緒があふれ、ご近所で助け合っていました。
 たかおか食器店の斜め向かいは昔は雑貨屋さんになっていて、おばさんとおばあちゃんがいつも店番をしていました。 ふたごの男の子の長男の方はこの雑貨屋さんにいつも遊びに行っていて、よく銭湯に連れて行ってもらったそうです。 また、二軒おとなりは当時スナックになっていて、若い女性の方がいて、こちらはふたごの弟の方がよく遊んでもらっていました。今でもギターを弾いてもらっている写真が残っているそうです。

 その頃、商店街には12〜3人の子供の同級生がいて、何かにつけて声を掛け合いお店の忙しいときにはお互いに助けあっていました。 ふたごの子供が大きくなってからは、今度は近所のパーマ屋さんの子供がよく遊びに来るようになりました。 いつもパーマ屋さんの忙しくなる夕方になるとやって来たそうです。 時々は二階に上がって一緒に晩ご飯を食べたりするのですが、「ひるかけを食べる!」とその子が言うので「ひるかけ」とは何だろうとよく聞いてみると「ふりかけ」のことを言っているのでした。 やはり商売が忙しくなると、なかなかご飯のおかずにまで手が回らず、時々はふりかけで済ましてしまうこともあるのだなと、自分の子供の小さかった頃を思い出しながら近所の子供にご飯を食べさせてあげたこともあったそうです。 その男の子は「たかおかのおばちゃん、おじちゃん」ということで、「たかばー」「たかじー」と言ってはよく遊びに来ていましたが、今では来年高校にあがる年齢になり、現在野球に熱中している彼は、たかおか食器店の前を通ると帽子をとって「期待していてください!!」と元気にしっかりと挨拶をしていくそうです。



 さて、「たかおか食器店」さんはお店は小さいのですが、問屋との取引件数は大変多く、全国の産地とも幅広く直接取引をしています。
 私も欲しいものがあるとご主人にお聞きしたりして、いろいろなものをたかおか食器店さんから仕入れて使っていますが、ここで気に入っているものを少し紹介させていただきます。


@常滑焼の瓶
 昔、よく梅干を漬けるのに使っていた瓶をご存知ですか? 茶色で蓋の付いた、横に黒い垂流しの模様の付いたあれです。
 大きさは用途に応じて小さなものから大きなものまであり、私は高さが12p位のもの(3合、540ml)を三つそろえて、砂糖・塩・梅干を入れて食卓に備えています。 口が広いので、料理のときにさっと計量して取り出すのも簡単ですし、何と言ってもどことなく愛嬌のある、使い勝手の良いその形・風情が台所の風景を和ませます。


A秋田・角館の桜皮細工の茶筒
 新茶の季節も少し過ぎましたが、毎日おいしいお茶を淹れるのが日課となっています。
 そんな中で長く使える良い茶筒を買おうと思い立ち、たかおか食器店に相談をして購入したのが桜皮細工の茶筒です。 さすが伝統の職人技はすばらしく、つややかで深みのある桜皮は見ていても飽きが来ず、中蓋・外蓋ともに抵抗なくすっと閉まり、それでいてお茶葉の香りを外にもらしません。 手にとってもとても軽く、使い勝手は抜群です。


B岩手・盛岡の南部鉄器の鉄瓶
 少々貧血気味の私は、鉄分の補給とよりおいしいお茶を淹れるために鉄瓶も揃えることにしました。
 鉄瓶と言えばやはり岩手・盛岡の南部鉄瓶です。 カタログを見ると、伝統の技術を駆使した様々な形や模様、意匠を凝らしたものがたくさんあります。 決めかねて2、3日製造元「岩鋳」のカタログを借りて検討をしました。 結局一番オーソドックスな「平丸型アラレ模様」のものにしました。
 鉄瓶で沸かしたお湯はとてもまろやかでお茶の味わいも丸くなります。 是非おすすめです。 今はIHクッキングヒーター対応の南部鉄瓶もあります。
(ちなみに私の家では火鉢の炭でお湯を沸かすこともありますが、その炭もたかおか食器店で取り寄せています。 たかおか食器店には何でもあるんですよ!美味しい香楽銘茶も売っています。)

C常滑焼「八十八夜急須」
 現在のお茶はより味わいを深いものにするために「深蒸」という製法がとられています。 その為に使用する急須も、中に金属の細かな網が張られたものがほとんどです。 それにより細かな茶葉も漉しとることができるのですが、掃除や手入れが大変で臭いがつきやすくなります。 そこで画期的な新型の急須が常滑焼の「遊土里窯」で開発されました。
 通常の急須では茶葉を漉す網や網の目状の部分は底に近いほうにありますが、新型急須では一番上の部分に付いています。 注ぎ口をさえぎるように急須と一体となって半月型の仕切りが形成され、そこには八十八の穴が開けられています。 その穴は金属の網よりは粗いのですが、最上部に付いている為に、注ぎはじめると上に浮いている大き目の茶葉から網の部分に張り付く為、底に沈んでいた粉のような茶葉の部分はそれに漉し取られて湯飲みの方には入って来ません。 また、最上部にあるために網の表も裏も簡単に洗うことができ、いつも清潔に保てます。
 とにかく使ってみるとその斬新な機能は目から鱗が落ちるようです(ちなみに特許出願中です)。 大きさも大・小あり、お一人からご家族用まで是非おすすめです!

D華月・大黒鍋(炊飯鍋)
 最近では家電屋さんへ行くと色々な電気炊飯器が売っています。 IH電子炊飯器とか直火炊など様々なキャッチフレーズで店頭に並んでいて結構値段が高いのです。 高いものになると5万円以上したりします。
 そこでおすすめなのがガスコンロで炊ける炊飯鍋です。 値段は2、3千円からと安価なのですが、その炊き上がりは天下一品です。炊き立てはもちろん、冷めてからも芯までやわらかくいただけます。 特に炊き立てを一膳ずつラップに包んで冷凍保存し食べるときにレンジで「チン」をする(忙しい時とても便利ですね)、これが断然美味しさが違います。 私もこれを買ってから買い物の仕方が変わりました。 今までは「美味しいおかず」を探していましたが、今は「ごはんに合うおかず」を探しています。 主食とは名ばかりだったご飯が「炊飯鍋」によって食卓の主役になりました。
 面倒、手入れが大変・・・。そんなことはありません。 炊き上がりの時間は電気より断然早い(2合なら15分位で炊き上がります)ですし、電気製品ではないので文字通り丸洗いができて手入れも楽です。 火加減も「はじめチョロチョロ、中パッパ」なんて面倒はありません。これも是非おすすめです。

 他にも色々と紹介をしたいのですが、紙面の都合でこれくらいにさせていただきます。
 「たかおか食器店」さんは小さなお店ですが、欲しいものがたくさんあって、時々覗いてみるとついつい長居をしてしまいます。 それに、何と言ってもこの道57年のご主人に色々と教わりながら商品を手にとって選んだり、産地から取り寄せてもらったりすることが楽しいのです。 そしていつもニコニコと笑顔の奥さんに「どちらがいいですかねぇ」などと意見を聞きながら欲しいものを決めていきます。 そうすることで、一つずつ、決して使い捨てではない一生ものを生活の中に増やしていけるような気がします。
 梅雨の晴れ間には、グリーンパーク商店街「たかおか食器店」へ、ちょっと探し物に出かけてみませんか!!