2015年、街道の旅を始めて3年目となる今夏、日本橋から甲州道、中山道を経て野麦街道へと入り、飛騨までの道を歩いた。
8月8日(土)から19日(木)までの12日間である。

盆の時期に歩くことの意味を考える旅となった。目的地が故郷の地であることも余計にそうさせたのかもしれない。

道中それぞれの地域でお盆の迎え方、送り方の作法に細かな差異を見た。かつて宿場として栄え、今では静かに佇むだけの旧街道筋に帰省した家族が集うのを見た。川にかかる橋の上で故人や先祖への思いを焚いた跡を見た。路傍で朽ち果てた人々の営みや、戸毎に灯る盆灯ろうを見るにつけ、様々な人生があることを思い知らされた。湖畔で鎮魂の花火が打ち上がるのを見たときには、街道が時間も場所も超える「道」のように思え、水平移動をしているかのような錯覚にもとらわれた。

「甲州道中・野麦街道、旅日記」は、そんな深い考察のすべてをまとめた旅の記録、、ではない。何時に起きて、どこを歩いて、いつウンコをしたのかという、旅での事実を羅列しただけの小学生なみの日記である。
その行間に、「少しは難しいことも考えながら歩いていたんだな〜」的なことを読み取っていただけたらこの上ない喜びである。

2015年 秋 旅人しるす
 表 紙 一日目